最近読んだ本('97 9月)


村山由佳著

村山由佳の最新刊。本書は出版社の方で宣伝しまくっているが理由が良く解ら ない。 相変わらず、暗い話(だと思う)が、読後感は悪くない。

画狂人ラプソディ

森雅裕著

幻(と言う訳でもなく、ノベルズで一度出版されている)のデビュー作で1984年 の横溝正史賞佳作。著者はこの翌年「モーツァルトは子守唄を歌わない」で江 戸川乱歩賞を取っている。 私は「モーツァルトは子守唄を歌わない」でこの作者を知った(1991年頃か)の だが、その時には既にデビュー当時にノベルズで出版された本書は廃版になっ ていた。 本書は12年ぶりに森雅裕幻コレクションというシリーズで復刻されたもので ある。(何だかなー。もっと良いネーミングが無かったんだろうか?) デビュー作だけあって、その後の色々な小説の元ネタが一杯つまっている。 詰まりすぎていて、小説としては若干破綻しているが、まあ、御愛敬か。 葛飾北斎を巡る謎解きとそれに絡む3件の殺人事件を主人公が探偵役になって 解決(というか説明)する。

ミート・ザ・ビートルズ

小林信彦著

イエスタディ・ワンス・モアの続編(といっても読んでない人は知らないか)。 過去にタイムスリップした主人公がビートルズ日本公演にかかわるドタバタ騒 ぎに巻き込まれるという話である。 あいも変わらず、ストーリーテラーとしての本領が発揮されており、当時の風 俗や文化がコミカルに描かれている。こういう本を読むとその時代の雰囲気が 如実に感じられて、面白い。 32歳の私が音楽を聞き始めた時、既にビートルズは伝説だった(そういえば、 主人公とほぼ同じ年代です)ので、当時、ビートルズが世間的にどういう評価 にあったのか良くわからなかったが、本書にはその辺りが詳しく書かれている。 特に、警備のものものしさ(警察官3万人動員!)や日本武道館を公演会場に使 用する際の対応など今思うと非常に滑稽であるが、当時を知らない私にとって は非常に興味深い。
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Last modified: Fri Sep 26 07:59:42 JST 1997